満足いくネクタイのノットに出会いたい。
こんにちは。
山本です。
前回はマリネッラのネクタイ受注会の話をお伝えしましたが、実のところマリネッラのネクタイに100%満足しているかというとそうではありません。
いや、はじめに断っておきますが、決してマリネッラがダメとかそういう話をしたいわけじゃないんですよ。
むしろその逆。
僕自身がまだまだネクタイを理解できていないということです。
ネクタイをはじめて締めたのは高校1年の時でした。なんのことはない制服がブレザーだったという理由からです。親父からネクタイの結び方(セミウインザーノット)を教えてもらってからというもの、社会人になってもその結び方をし続けていました。
こだわりとかそういうのではなく、これもその逆。
「まっそこそこきちんと結べてるし、だらしなくなければそれでいいかな」
ネクタイに全く興味がなかったんですよね。
「興味がなかった」というのは正しい伝え方ではないかもしれません。ネクタイに対する認識が足りなかった、とでも言いましょうか。
ネクタイそのモノに関しては興味はありました。毎月ネクタイを1本は購入してましたし、自分なりにスーツやシャツとのコーディネートも考えていたつもりです。
- ネクタイはだらしなく無く、装いにマッチしていれば、それ以上でも、それ以下でもない。
これが僕の中でのネクタイの位置づけでした。
ただ今は違います。
マリネッラでオーダーするくらいですから(自分で言うのも「なんだかなー」って感じですが 笑)、ネクタイに対する認識が変わったのは言うまでもありません。
そのきっかけは、身近に真似したくなるようなおしゃれさんがいたとか、女性からもてたいとかではありません。
それは最初は些細な違和感でした。
僕はとある金曜日終電小一時間くらい前の電車に乗っていました。電車の中は一週間の労をねぎらうかのようにお酒を楽しみ、家路に着く人がほとんどです。
(ちなみに僕はお酒が飲めませんので、たんに家に帰るのが遅い時間だっただけです)
その中に明らかに僕より年下であろう若者集団(多分入社2〜3年)が乗り込んできたのですが、彼らを見て僕は
- おじさん?
という印象を受けてしまいました。話している内容、服装、顔立ちどれをとっても、僕よりは明らかに年下なのに、受けた印象は2〜3歳上とかではなく、40〜50代のよれたおっさんの印象でした。ちがう表現をすれば、
- みんな疲れている!(「疲弊しきっている」という表現の方が適切かな?)
です。最初は「金曜日だからね」程度の感想で済ましていましたが、その日以降電車に乗っているサラリーマンを観察し続けている僕がいました。
そして朝も昼も夜も平日も休日(に出勤しているサラリーマン)も20代も30代も40代も50代も目に入るサラリーマンを見続けた結果、僕なりの結論が
- 疲れているサラリーマンのネクタイのノットはだらしない。
でした。
この「疲れている」という表現に関して先に言っておきたいのですが、この「疲れ」は体力的な疲れではありません。体力的な疲れというよりも、「精神的な疲れ」を指しております。それは、これらの人は朝だろうがネクタイのノットがだらしないからです(もちろん同一人物で観察しました)。
この発見により僕のネクタイ観は180度変わります。
特に精神的な疲れを自己認識できるような日はあえてネクタイのノットに気を使いまくりました。
僕が何度も言っている事ですが、「外見は内面を表す」わけですから、そんな時こそ外見にこだわる必要があるのです。
例えば、イチロー選手ですが、彼は今でもグローブやスパイク、バットを自分で磨くそうです。
イチロー選手とて同じ人間です。きっと内面では色々な揺れがあるでしょう。でも不調が続いている時でも、いつもと同じスタンスという印象を受けませんか?
(逆に絶好調の時だっていつもと変わらないイチローという印象です)
これが仮に他の選手だとしたら、「あいつは終わったな」「もう年だから」とかいうニュースが流れるはずですが、イチロー選手に関して言えば「きっとまた打ってくれる」という期待を皆抱くのではないでしょうか。
この感覚非常に重要だと僕は考えていて、イチロー選手のグローブが僕らにとってネクタイのノットであると言い換えられないでしょうか?
ちょっとイチロー選手を例に出してしまうと、誰も反論できない凄さが彼にはありますので(苦笑)、次にこの写真を見て下さい。
↓
ネットで拾ってきた画像なので誰だかわかりませんが、この人仕事できそうじゃないですか?
もっと言えば、仕事も恋も人生も全て順調にいってそうな印象を受けませんか?
・・・・・
どうでしょうか?
この感覚なんですよ。大切なのは。
- 人は人から思われているような人になる。
だったら、
- なりたいような人を振る舞う。
のも一つ重要ではないでしょうか?
スーツのVゾーンは第2の顔である、と言われるくらい人の印象を左右します。先ほどの写真の例でそれは明らかなように、第一印象というものは受け手の脳裏に焼き付きます。
じゃそのVゾーンにはこだわるだけこだわってみましょうよ!
もし朝、ネクタイのノットが気に入らなかったら、納得いくまで締め直して遅刻しましょうよ。
(髪型・化粧が決まらなくて遅刻するOLのように)
だらしないネクタイで9時ギリギリに出社するより、ネクタイがバシッときまって5分遅刻する方が僕はいいと考えます。
それは、前者は「あーだらしないなぁ。寝坊したんだな」という印象を周囲に与え、後者は「あれどうしたんだろう。電車が遅れてたのかな?」という印象を周囲に与える可能性があるからです。
可能性というより、きっとそういった印象を与えます。
だってこの話、僕の実談ですから(笑)。
ただそんな経験をしている僕も未だに自身が満足するネクタイノットに出会えてません。
(「作れていない」って表現が正しいのだろうけど、なんとなく僕の感覚では「出会えていない」って感じなんですよね)
まだまだどこか納得いかないで妥協している。それは、ディンプルの深さかもしれないし、位置かもしれない。若しくは、ネクタイの長さかもしれないし、素材かもしれない。大剣と小剣のバランスかもしれなし、シャツ、ジャケットとの相性かもしれない。
要は全てバランスが大切なのだけど、まだまだなのである。
多分、他人から見たら全然わからないようなちょっとした事でも、自分にとって心地よいと思うポイントってあると思うのです。
そういった細かなポイントにこだわってこそ、人は成長していけると僕は考えております。
ネクタイのノット。あなたもこだわってみてはいかがでしょうか?
それではここまで読んで頂きありがとうございました!
2013年3月12日
山本 和広