プロの条件
こんにちは。
山本です。
約1ヶ月半前にオーダーしていたスーツが仕上がったという事で、本日都内にある某テーラーに取りに行きました。
オーダーと言ってもパターンオーダーなので、仮縫いとかはありません。ですので、自分のイメージ通りのスーツに仕上がっているかドキドキワクワクしながらの受け取りです。
ただオーダーしたのが1ヶ月半程前になるので、正直どんな生地でオーダーしたのかすら覚えておりません(笑)。なので「オーダー頂いたスーツはこちらでよろしかったでしょうか?」と言われても・・・。
まっそれは扨措き、その後店員からこんな質問がありました。
「ご試着はいかがなさいますか?」
いやーちょっとびっくりしちゃいましたよね。そのテーラーで何回も仕立てている常連ならまだしも(常連でもありえませんけどね)、初めてのお客にこの発言はないでしょ?!ましてや忙しい中わざわざ受け取りに行ったのに・・・。
とはいえ、新しいスーツとの出会いの場。細かいことは気にせずにフィッティングルームへ。試着後、姿見を見ながら僕が、
「ちょっと着丈短すぎましたかね?」
「裾丈もうちょっと短い方がよかったかな~」
と質問したところ、
「着丈は寧ろ長い方ですよ。今の流行はこれより2~3センチは短いですから」
「裾丈がダブルでしたら、今の流行はやりはもっと短いですよね」
とのアドバイス。結論、
「こりゃダメだ」
と思ってしまいましたね。僕は今流行のスーツなんかに興味はないのです。僕はスーツにはクラシックさを求めていますからね。今流行のスーツの着丈・裾丈が短かろうが、知ったこっちゃありません。
スーツに限ったわけではありませんが、お客が何を求めているかはプロとしては自ら見つけ出す努力をしなくてはいけません。先ほどの僕の例で言えば、僕がオーダーしたスーツを見て(試着した姿も見ているわけですし)、僕が今流行のスタイルを求めていると思う方が難しいと思います。なのに、今流行のスタイルを引き合いに出してくる。これでは僕との信頼関係は築けないです。
もちろん、ほんの短い時間でお客が何を求めているのかを、お客との関係循環の中で見つけだせというのは無理難題かもしれません。例え数十年の付き合いがあったとしても、関係循環からお客の真の要求を見つけ出すのは至難の業です(お客自身、自分自身の真の要求はわかっていないものですから)。ただ難しいとはわかりつつも、その要求を見つけ出そうと努力することがプロの条件のスタートラインだと僕は考えます。
山本 和広