相田みつを美術館 館長 相田一人氏の言葉から学んだ2つのこと
こんにちは。
山本です。
ここ最近、「クールビス」と「だらしない」の区別がついていないサラリーマンを見ると、ちょっと残念な気持ちになります。
服装はその人の内面を反映
とどこかの記事で書きましたが、ほんとそういう意識が足りない人が多すぎる。そもそもスーツはネクタイありきでデザインされているのですから、ノーネクタイを装うなら、それなりのマナーがあるはずです。
ノーネクタイ = クールビス
じゃないですからね。社会という場において、自分の置かれている環境を理解でき、そもそもスーツとはなんぞや、という意識があれば、街中にだらしないサラリーマン連中が充満することもないんですけどね。
もしあなたがサラリーマンだったらその辺は意識してくださいね。
では、本日の日常考察は以下からです。
1.場をもむ
相田みつを
「人間だもの」があまりにも有名な書家でありますが、先日ひょんなことから相田みつをさんのご子息であり、有楽町国際フォーラムにある『相田みつを美術館』館長である相田一人(かずひと)氏とお話する機会がありました。
30~40分という短い時間ではありましたが、色々とお話をさせて頂いた中で、「あー面白い表現をする人だな~」と感じた言葉がありました。それは、こんな文脈で出てきた表現でした。
「『湯もみ』ってご存知です?温泉で水をつかわずに温度調節する方法のことですが、実際には湯が柔らかくなるわけではないですよね。でもそういった表現をする。
その表現に似た現象が実際に美術館でも起こるんですよね。僕はそれを『場をもむ』って表現するんですけど、美術館の開館前と閉館後では場の空気が全く違ってるんですよ。
開館前は空気がキーンと凍り付いているような雰囲気があるんです。でも同じ日の閉館後に美術館内を歩くと、不思議と空気が柔らかくなっている。そしてその日その日で場の空気も違うんですよね。
来場していただいたお客様の想いが場をもんだ結果だと僕は考えています。」
あなたも似たような経験をしたことあるのではないでしょうか。例えば、帰宅時ドアを開けた瞬間、、、雰囲気が違う。その理由は、知らないお客が来ていた、両親がケンカしていた、など色々あるかと思いますが、一度や二度は経験ありますよね?
僕の友人は「あれ?いつもと何か違う」と感じ、家の中に入ったら、泥棒に部屋を荒らされた後だった、という経験をした人がいます。既に泥棒は家にはいなかったのですが、知らない人が部屋にいたという場の雰囲気を敏感に感じ取ったのでしょう。
要は客観的には表現できない事象なのですが、相田一人館長は現実の世界(相田みつを美術館という空間)をより良くすることにより、来場してくださるお客様の気持ちをより満足させ、より善い場の空気を作り出す努力をしているデザイナーなんだなと僕は感じました。
僕ら人間は言葉では表現できない、感覚でしか感じ取れない出来事も敏感に察知する生き物です。
相田一人館長が美術館についてこんなことを仰っていましたので、あながち僕の感じた直感も間違いではないと思います(たぶん・・・)。
「僕は相田みつを美術館を、相田みつをの書がなくても人の集まる場にしたいんです。」
現実世界で生きる僕らにとって、場というのは非常に大切な要素です。僕らは現実の場にしか存在できませんからね。
もしあなたが置かれている現在の環境に何かしら違和感・不満があるのであれば、場の空気を変える必要があるかもしれません。
類は友を呼ぶ。引き寄せの法則。なんて巷ではいわれていますが、相田一人館長が実践している「場」を実際に経験すると、何かしらのヒントが得られるかもしれませんね。
実際に目に見えることだけではなく、直感も大切にし勉強する必要がある、と僕は相田一人さんとの会話の中で学ぶことができました。
この感覚、あなたとも共有できたらこれ幸い。
2.伝える事のむずかしさ
相田みつをさんがここまで有名になった理由の一つには、
わかりやすい
ということがあるかと思います。僕らが日常で使うような言葉で書かれている書は好き嫌いはあるかと思いますが、子供からお年寄りまで幅広い年齢層が理解できる、というのが相田みつを作品の大きな特長だと思います。
ただここであまり知られていないことなのですが、相田みつをさんは実は字はめちゃくちゃ上手い人です(書道家ですので当たり前といえば当たり前ですけど)。
23歳で全国書道コンクールで優勝もしていますし、美術館に行けばめちゃ上手い字も見ることができます(時期によっては展示されていない可能性もありますが)。
じゃなぜあのような字の作品にしているのでしょうか。
その理由に関してご子息の相田一人氏からお伺いすることができました。
「本来字が綺麗な父がなぜあのような字で書くようになったのか。それは、
『書が勝ってしまい、言葉が伝わらない』
とよく言ってました。」
字が綺麗だろうが、伝わらなくては意味がない。ごもっともだと思います。あまりにも壮麗な字を書かれてしまうと、一歩引いて読んでしまう人もいるでしょうし、字ばかりに気がいってしまう人もいるでしょうからね。
あなたも学校で「字は上手じゃなくてもいいから、丁寧に書きなさい」って教わったかと思いますが、
- 丁寧に書く = 読む人へのマナー
って事ですよね。結局は文字ってコミュニケーションツールなのですから、読み手のことを無視してはいけないわけです。
今はメール、ブログ、ツイッターなどで簡単にコミュニケーションがとれる時代です。それはそれで可能性が飛躍的に広がったという喜ばしいことなんですが、場が広がっても、その中で使用されるツールの質が衰えては意味がないことも僕らは意識しなくてはいけません。
あなたがもし、他の誰かに対して
「なんでわからないんだよ!」
って思う機会が多いのであれば、一度言葉の質に気をつけてみてはいかがでしょうか。
サザエさんにでてくる波平とフネじゃないですけど、
- 波平「おい」 → フネがお茶を持ってくる
というようなコミュニケーションは30、40年一緒に生活したから成せるコミュニケーションです。
仕事、恋人、友達関係では、そういったコミュニケーション関係を築くのはまず難しいということを認識し、めんどくさくても言葉の質を上げる、具体的には丁寧に伝える、という意識を持つことをお勧めします。
相田みつをさんが困ったように、もしあなたが言葉が伝わらない、と感じているのであれば、今の何かしらを変える必要があるのですから。
以上、本日の日常考察でした。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
2011年6月2日
山本 和広
日常考察
- データ(客観)だけではなく、直感(主観)も大切にする。
- 「伝わってない」と感じたら、言葉を丁寧に扱う癖をつける。